魚料理というもの

魚料理と言うのはなかなかにグロテスクである。
そもそもが料理段階から生臭さと切っても切れない縁である。
そんな魚料理には、私にとって特に恐ろしい装いをしたものが沢山ある。

例えば。
鯛めしは、釜を開けた瞬間の目が白くなってしまった鯛の姿が恐ろしい。
鯵の南蛮漬けは、酢に漬けた鯵がふやけて恐ろしい。

小鮒の甘露煮は、みんなが綺麗に揃って同じ方向を見ているのが恐ろしい。
目が白くて恐ろしいのは鯛めし然り。
金目鯛の煮付けもだ。
あの群を抜いてでかい目玉が白濁するさまは、どことなく終末を予感させる。

シラス干しは、たまにゾエア(カニの幼生)みたいのやタコの子供が混じっていて恐ろしい。
目刺しに至っては目玉を刺していて…、ととにかく挙げればきりがないのである。
それ程に見た目に色々言いたいことがある。

特に私は子供の頃から魚に対しては恐怖感があるのだ。
ある日の夢の中で、魚のうじゃうじゃいる生簀に落ちてからだ。
夢なんだからどうってことないと言ってしまえばそれまでであるが、私は感受性の強い子供であったのだ、と言い張る。

それ以来お堀や公園の池にいるフナには特に恐怖を感じる。
落ちたら、ショックで気を失うに違いないと少なからず確信している。
それは余談だ。

とにかくそんな見た目少々難ありの魚料理なのだが、酒に合うことといったら肉料理の比ではない。
ビールも日本酒も焼酎でもよい。
あの生臭さが酒類との相性が抜群なのである。
ちなみに個人的な意見だが、魚の生臭さときゅうりの青臭さは同様の酒との相性のよさがあると思っている。

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